STP分析

マーケティング

【マーケティング】戦略立案の必須フレームワーク!STP分析のやり方と注意点を事例を含めて徹底解説!

環境分析で市場の状況が把握出来たら、次はどのように商品やサービスを顧客に届けるかの戦略を立案していく必要があります。

 

事業戦略を立てるうえで参考になるフレームワークに「STP分析」があります。

 

この記事では、効率的に経営資源を投下するために必要な「STP分析」について事例も紹介しながら、使い方やメリットと注意点を解説していきます。

 

STP分析とは

STP分析

STP分析はアメリカの経営学者フィリップス・コトラーが提唱した有名なフレームワークです。

 

STP分析は

  • Segmentation(セグメンテーション)
  • Targeting(ターゲティング)
  • Positioning(ポジショニング)

の頭文字をとったもので、マーケティングで重要な「誰に」「何を」の部分に関わる分析を行い、自身の商品やサービスを位置づけする重要な役割を担います。

 

基本的に外部環境(マクロ・ミクロ)内部環境を分析して市場の機会(チャンス)を見つけた後に行う事業戦略になります。

 

外部環境分析についてはPEST分析ファイブフォース分析の記事でも解説しています。

 

 

STP分析の各要素

ここからはSTP分析の各要素について詳しく見ていきます。

Segmentation:セグメンテーション

分析

セグメンテーションは市場を細分化することで、自社が提供する商品・サービスを必要とするユーザーや顧客を明確にします。

 

共通のニーズを有するグループに分けることで、効率よくマーケティングを行えるようになります。

 

1つの商品やサービスを市場全体に売り込んでも、全ての顧客が購入してくれるわけではなく、興味関心を持っている人だけが引き寄せられていきます。

 

細分化することで対象を絞り、そのグループに商品やサービスをPRすることで、市場全体に投入した時よりも反応率は大きくなり購買へつながる可能性も高くなります。

 

一方で細分化した規模が小さくなりすぎるとターゲット数が少なくなり、開発コストなどを回収できなくなることがあるため、細分化をどこまで行う方もポイントになります。

 

セグメンテーションは状況に応じて細分化して指標を使い分けることが大切です。

 

セグメンテーションには4つの基準があります。

  1. デモグラフィック(人工統計的基準)
  2. ジオグラフィック(地理的基準)
  3. サイコグラフィック(心理的基準)
  4. ビヘイビアル(行動基準)

 

デモグラフィック(人口統計的基準)

年齢・性別・職業・所得・家族構成・ライフサイクルなどの属性をもとにしたセグメント指標のことです。個人の特性を基準としており、国の統計調査などから判断します。

 

もっともよく用いられる基準であり、マスマーケティングの際に利用される手法です。

 

ターゲットとなる顧客にTシャツを販売する例を考えると、10代向けなのか、40代向けなのか、男性・女性どちらなのかで販促活動が変わってきます。

 

そのような際に人口統計的基準を基に細分化していきます。

 

ジオグラフィック(地理的基準)

地理学的な統計データのことで、国や市町村、地域特性、気候、文化、宗教などの要素を基にしたセグメントが地理的基準です。こちらも国の統計や地図から判断します。

 

地理的な優位性があることで販売数が変わることはよくあります。

 

沖縄と北海道を例にとると、スタッドレスタイヤは雪が降る北海道には必要ですが、沖縄に住んでいる人は年間を通して雪が降ることはないのでスタッドレスタイヤを販売しても売れません。

 

また文房具店も学校の近くに店舗がある方が、学生が購入してくれる確率が高いはずです。

 

地域や気候が変わることで必要となる商品は変わるため、地域の特性に合わせた商品やサービスを考えることは効率化が図れ、在庫や人件費の削減につながります。

 

サイコグラフィック(心理的基準)

人が持つ心理的な基準のことで、価値観や性格、好みライフスタイル、購買動機などの個人の心理に基づく情報を使ったセグメント指標のことです。アンケートやヒアリングを基に判断します。

 

商品やサービスが溢れている現在は、消費者が多くの選択肢から購入することができるため、ライフスタイルや価値観を考慮して訴求していかなければ購買につながりません。

 

洋服でもブランド物にこだわる人もいれば、「着れれば何でもいい」と考える人もいるでしょう。

 

対象がどういった価値観をもっているのかで商品やサービスは変わってくるため、他の基準と掛け合わせながら細分化していきます。

 

ビヘイビアル(行動基準)

購入商品、購入金額、購入頻度、購入日時、さらに使用目的などの個人の行動に焦点を当てたセグメント指標のことです。

 

インターネットやSNSが普及したことで、閲覧ページや滞在時間など行動追跡データーを基に判断できるようになりました。

 

商品1つを考えも、何度も購入してくれる顧客もいれば、単発の1回お試しで購入するなど購買頻度が異なります。

 

リピートが多い顧客に対する販促と、新規顧客に対する販促が同じになることはほとんどないため、それぞれの行動特性を理解した策を練っていく必要がある場合に有効です。

 

ターゲティング

選択

セグメンテーションで細分化された市場をもとに、自社がどの市場に参入すべきか決定するフェーズです。

 

どの市場が自社にとって利益があるのか、魅力的な市場なのか選択し、自社の競争優位性が得られるような市場を選択します。

 

選択する際は、自社を取り巻く外部環境や内部環境の状況も勘案して決定します。

 

自社に顧客のニーズに対応できる資源があるのか、また市場の成長度合いや、競合の状況なども検討して慎重に決定する必要があります。

 

市場を決定する際は、大きく3つの切り口で決定します。

  • 無差別型(全方位型)
  • 差別型
  • 集中型

 

無差別型(全方位型)

すべてのセグメントをターゲットとする細分化を無視した手法で、優れた技術力と資金力のある大企業のみが採用できる戦略になります。

 

差別型

細分化した市場に異なる商品・サービスを供給する手法のことで、差別型にも種類が存在します。

 

(技術シーズ重視型)

高い技術力を誇る企業が、技術力をもとに複数の市場を開拓する手法のこと。

普通自動車の技術をスポーツカーやキャンピングカーに応用して展開するなどが考えられます。

 

(市場ニーズ重視型)

技術シーズ重視とは反対に、1つの有望な市場に複数の商品を投入する手法です。

例えば洗濯機でも、洗濯機能だけのもの、乾燥機付きのもの、除菌付きなど複数の商品を開発し導入する戦略はこれにあたります。

 

(リスク分散型)

特定の市場のセグメントに集中投資せずにリスクを分散するために、技術や将来的に有望な市場をターゲットとして資源を投下する手法です。

リスク回避のつもりで分散させても、自社資源の分散を招くことになり、かえって混乱する場合も考えられます。

 

集中型

特定の市場に絞り込んで資源を集中投入する手法です。

 

熱狂的なファンがいる場合や絶対的競争優位性を目指す手法ですが、ハイリスク・ハイリターンなポジションであることにも注意が必要です。

 

特定の市場限定すると、ヒットすれば大きく成績を伸ばすことができるが、外れた場合は企業の存続に関わることになります。

 

ポジショニング

押しピンが刺さる

ポジションングはセグメンテーションとポジショニングによって決定した市場で、自社の優位性をもとに顧客に対して商品やサービスの特徴をイメージづけ、ベネフィットを決定することです。

 

自社の強みを活かしたポジションを築くことが大切ですが、顧客の視点で考えることが重要とされています。それは顧客が自社のポジションを認識して、初めて購買を検討する様になるからです。

 

顧客のニーズを満たしながら、機能やコスト面での独自性が受け入れられるかがポイントになります。

 

ポジショニングではポジショニングマップを利用して自社の位置を決定します。

 

ポジショニングマップとは?

2軸のマトリクス上に自社の商品・サービスと競合他社をマッピングして自社の立ち位置を明らかにするものです。

 

自社の優位性を築いているかを検討することが主な目的になります。

 

車を例にとって具体例を挙げてみます。

ポジショニングマップ

自動車業界ではドイツ車のベンツやBMWは高級者として有名で、それなりの所得がなければ乗ることができません。

 

一方で庶民的な車としては軽自動車N-BOXやタントがその一例です。特に働き始めて間もない若年層は軽自動車から乗り始めることが多い傾向があります。

 

ベンツなどの外車と軽自動車はちょうど大極にあると言えるでしょう。

 

ポジショニング・マップを作成する際は、注意しておくべき点が3つあります。

 

購買決定要因(KBF

  • ターゲットとする対象が何を重要視して購入するかを押さえる。

2つの指標が無相関であること

  • 品質と価格のように相関のある2軸の場合、各社が直線上にならび課題が見えてこない。

客観的な指標を用いる。

  • 年齢と所得のように客観的な数値を用いる。主観的な部分はアンケート調査をするなど客観性を持たせる。

 

上記3点を抑えながら、自社が目指すポジションを探していきましょう。

 

STP分析を行うメリット

メリット

STP分析を行うメリットは2つあります。

 

  • 自社に有意なポジションを見つけることができる
  • 商品やサービスを提供する顧客を整理できる

 

自社に有意なポジション見つけることができる

STP分析を通して自社の強みが生きる市場が明確になることで、競合となる他社と差別化できるようになります。

 

すでにレッドオーシャンな市場に進出するリスクを下げるためには、STP分析が特に重要であり、マッチすれば売上も大きく伸ばすことができます。

 

市場は常に変化しているため、顧客のニーズを把握して事業が成功するためには必要不可欠と言えます。

 

商品やサービスを提供する顧客を整理できる

市場全体をターゲットにした戦略もありますが、中小零細企業の場合は経営資源の問題からそれが難しい場合がほとんどです。

 

自社の商品やサービスをどの市場に投入するか、セグメンテーションやターゲッティングを行うことで効率的に販促をかけることが可能となります。

 

一度細分化されることで、戦略を変更する際にも短期間で改善を図ることも可能となります。

 

STP分析を利用した事例(モスバーガー)

ハンバーガー

ここからはハンバーガーチェーン店の「モスバーガー」をSTP分析の事例として考えてみましょう。

 

<セグメンテーション>

モスバーガーは味や品質にこだわりをもち、生野菜は国産の素材を使用しています。材料費は高くなりますが、顧客に対して「安心と安全」を感じてもらうための差別化をしていると考えられます。

 

グルメ感よりも健康志向の要素が強いのがモスバーガーの特徴であり、素材の品質といった健康志向が1つのセグメンテーションの軸と言えます。

 

またファストフード店はすぐに食べたいとする顧客ニーズを満たすためのお店ですが、モスバーガーは注文から商品の受け渡しも、オーダーが入ってから作られる方式のため、ゆっくりと食事を楽しみたいとする層も考慮しています。

 

<ターゲッティング>

モスバーガーは価格的にも業界大手のマクドナルドに比べると価格設定は高くなっており、プレミアム感があります。それは素材にこだわっているからに他なりません。

 

素材にこだわっていることからも健康意識が低い層よりではなく、健康意識が高い層をモスバーガーはターゲットとしています。

 

またすぐに食事を食べたいとする子供がいるような家族層をメインターゲットにしているわけではなく、時間的にゆとりのある中年層をターゲットにしていると考えられます。

 

<ポジショニング>

以上のことからモスバーガーは「健康志向」「時間」を軸としてポジショニングを行っていると推察できます。

 

まとめ

いかがでしたか。

 

STP分析は事業戦略を立てる際に重要なフレームワークになります。

 

自社がターゲットとする層を明確にして選択的に経営資源を投下することが、効率的に事業を進めていく上では必須と言えます。

 

セグメンテーション、ターゲッティング、ポジショニングの流れを理解して、市場の動向に合わせて適宜戦略を変えられるようにしておきましょう。

 

 

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